久しぶりに松田先生の太極拳入門を読んでいます。この本が出たのが昭和48年。私がまだ高校生の頃。なんと日中国交回復の翌年。
当時は太極拳を知る人も少なく、サントリーの宣伝で女の子が24式を美しく演じ、それが評判を呼んだ時代でした。でも実際には太極拳を正しく認識する人は皆無で、楊家も楊名時も区別がつかなかった時代です。
その時代に既に松田先生は太極拳の源流は陳家であり、様々な伝説と歴史の検証をこの本で行い、太極拳の技術と空手の違いなどにもわかりやすく解説し、どのようにすれば極意に至れるのか?その方法論なども書かれています。今、沈剛先生のカレッジ解説の為に太極拳の歴史と技術を掘り下げていますが、深い疑問に答えてくれる本は松田先生の本だけ。沈剛先生の奥深い理論に、正面から対抗できる唯一の本かもしれません。武術を深く知れば知るほど、松田先生という山がいかに高かったか知らされます。
産報ブックスから昭和48年6月初版。昭和51年5月には14刷発行。550円。歴史的名著です。