- 演武会六番目は沈剛先生の呉式太極拳。まず、先生達の肖像写真と共に、呉式の歴史から語るのは沈剛先生らしかったですね。
呉式太極拳第五代伝人の矜持でしょう。伝統武術には、正しい伝承と先生へのリスペクトは不可欠です。それが近代武術との差異であり、良くも悪くも伝統武術の本質と関わっています。
陳式から派生した太極拳は、楊家で柔の体系化がなされ、その路線をさらに徹底して、柔の極地を目指したのが呉式ある、と私は考えています。その呉式が、中国では最も実戦的な太極拳と位置づけられてるのが興味深い。例の公開決闘や、呉艦泉、馬岳梁と実戦名人を輩出したことがイメージとして大きかったのかもしれません。その馬岳梁先生と呉英華先生に子供の頃から直接手を触れて呉式を学んだ沈剛先生の身体には、そのまま太極拳の歴史が息づいています。見てるだけではわかりませんが、沈剛先生の身体を押したり引いたりすると、その歴史が突然顔を出し、跳ね返されます。感動しますよ。今の日本にこうしたコンフーを身につけた達人が身近にいることは奇跡ですね。
ぜひ一度沈剛先生の身体と接触し、太極拳の柔の武術を体感して見てください。
沈剛先生は毎週水曜夜七時から。
呉艦泉や馬岳梁の写真を披露し歴史を語る沈剛先生。
13式推手。呉式独特の13式は長い間秘伝として公開されませんでした。
呉式には様々な武器が伝わります。秘伝の乾坤剣。静かなのに鬼気迫る迫力があります。